カラヤガム
カラヤガムとは、インドに分布するアオギリ科カラヤ(Sterculia urens)の樹脂から得られる多糖類です。
カラヤガムは肌への刺激性が極めて低く、吸水すると非常に高い粘着性を示すことから、幅広い分野で使用されます。
食品分野ではアイスクリーム等の増粘・安定化剤として使われます。医薬分野では義歯安定化剤、ストーマ製品の接着剤などに広く利用されています。
1.構造
カラヤガムはラムノース、ガラクトース、ガラクチュロン酸を構成糖に持つ多糖類です。
アニオン性の水溶性高分子に分類されます。分子量は約950万とされ、非常に大きく、水には完全には溶解せず、膨潤して強い粘着性の分散液となります。
2.製造工程
カラヤの樹木に傷をつけ、浸出した塊状のカラヤガムを回収します。回収後は不純物や色調等で等級ごとに選別されます。
塊状のカラヤガムは粉砕、精製、粉末化等の工程を経て均一な製品になります。
3.特性
溶解性
水には完全には溶解せず、速やかに吸水して膨潤し、粘着性のある不透明な分散液となります。
吸水速度は粉末の粒度が細かいほど速くなります。
カラヤガムの持つ最高粘度は冷水での水和の場合に発揮され、その濃度は3~4%が限界です。
一方で、加熱・加圧によりカラヤガム分散液は低粘度になりますが、溶解性は向上するため、20~25%の透明なコロイド状分散液を作ることが可能です。
粘度
キサンタンガムに近い高い粘度を示し、その溶液は特に高濃度の場合に高いシュードプラスチック性を示します。
pH
カラヤガムの分散液は通常、pH4.5~4.7を示し、独特の緩衝作用を示すことが知られています。
温度の影響
カラヤガムの分散液は温度が上昇するに伴って粘度が低下します。
溶液の安定性
カラヤガムは溶解初期に高い粘度発現性を示し、数日間は安定的な粘度を示します。しかし、時間の経過に従って若干の粘度低下を起こし、その溶液は酸性条件下ではゆっくりと加水分解が起こります。
ゲル化
多価アルコールとの併用よってゲル化することが知られており、この特性の活用例として皮膚保護剤への応用が挙げられます。
4.応用例
食品での使用例
アイスクリームの増粘・氷晶安定剤、ハム・ソーセージの結着剤等
化成品用途での使用例
スタイリング用の皮膜形成剤、膨潤性緩下剤、義歯安定化剤等
その他用途での使用例
ストーマ製品の接着剤等